みみの病気の症状、原因、治療法をご紹介します。
詳しくは、来院のうえご確認ください。
急性中耳炎
症状
耳の痛みと発熱が多く見られます。特に小さな子どもでは、症状をうまく訴えられず、耳に手をやったり、ぐずったりします。大人では痛みや発熱のほか、耳がつまった感じや難聴も自覚します。
炎症が進むと、鼓膜の裏側にある空間(中耳)に膿がたまってきます。するとその圧力で鼓膜から膿が「耳だれ」として外に出てきます。
原因
ほとんどの場合、かぜをひいた際に、のどや鼻にいる細菌やウイルスが「耳管」という管を通って移動し、中耳で感染して起こります。
当院での治療
- 抗菌剤を内服して炎症をしずめます。
- 鼓膜表面の炎症が強い時は、点耳液という液体の薬を耳の中に入れます。
- 薬の治療だけでは治らない場合や、高熱、鼓膜が腫れている場合には、鼓膜に小さな穴を開ける鼓膜切開を行い、膿を排出させることもあります。
- ※痛みが消えても完治したわけではありません。
痛みが治まっても聴力が低下している場合が多いので、しっかりと治るまで通院を続けましょう。
外耳炎
症状
「耳がかゆい」「耳が痛い」「耳から膿やしるが出る」「耳がポーンとする」「耳がにおう」・・・といった症状です。炎症が進むと、耳の後ろや耳の下も痛くなり、さらにひどくなると、夜も眠れないほど腫れて痛くなります。
原因
「触りすぎ、耳そうじのしすぎ」「プールの水が入った」などがきっかけで炎症を起こします。特に気温が高い夏は、この病気にかかる方が急増します。
当院での治療
- ・軽症の場合・・・・・
- 軟膏薬を塗ったり、液体の薬(点耳液)を耳の中に入れて治します。
- ・炎症が強い場合・・・
- 抗菌剤を内服します。また、膿が出ているときは洗浄します。
多くの方は一週間前後で治ります。
耳ろう孔
症状
普段は耳の前に小さな穴が開いているだけで症状はありませんが、細菌が穴の中に入り感染をおこすと化膿してしまい、赤く腫れて痛みます。炎症が強くなると、皮膚が破れて膿が出てくることもあります。また、穴の周りを押すと、いつも少量の膿が出るという方もいます。
原因
生まれつきの病気で、穴の中の奥行き1㎝くらいの小さな袋になっています。10〜20人に1人の割合でみられます。片側だけの方もいれば、両側の方もいます。
当院での治療
特に症状がない場合は、治療はしません。軽い赤みや腫れがある場合は、化膿止め(抗菌剤)を内服します。また、穴の周囲を押して、膿を押し出すこともあります。炎症が強くなり、赤みの範囲が拡大し、腫れが強くなった場合は点滴による抗菌剤を使用したり、腫れている箇所を切開して膿を出し、洗浄(膿を洗い流す)を繰り返すこともあります。
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎
症状
音を伝える鼓膜の内側に液体がたまって鼓膜の振動が悪くなるため「耳が詰まる」「難聴」などの症状が起こります。痛みがないため、お子さんの場合は自分で難聴を訴えることはめったになく、難聴の程度が軽ければ周囲の人も気づかない場合が多いようです。滲出性中耳炎は別名「静かなる中耳炎」とも言われています。
原因
急性中耳炎の後に続いて起こる場合が一番多く、鼻かぜや副鼻腔炎(ちくのう症)、アデノイドの肥大が原因で、この中耳炎になることもよくあります。
当院での治療
鼻かぜや副鼻腔炎(ちくのう症)があれば、まずその治療を行います。その治療で、中耳炎も治ることが多いのですが、治りきらない場合は、
- 「クラリス」「クラリシッド」という抗菌剤をしばらく内服する。
- 鼓膜を小さく切り、内側にたまった液体を抜く「鼓膜切開」を行う。
- 鼓膜切開して開けた穴に一定期間、換気用のチューブを挿入する。
など、いろいろな治療法を組み合わせ、鼓膜や聴力の検査を定期的に行いながら治療していきます。
耳垢
傾向
音を伝える鼓膜の内側に液体がたまって鼓膜の振動が悪くなるため「耳が詰まる」「難聴」などの症状が起こります。痛みがないため、お子さんの場合は自分で難聴を訴えることはめったになく、難聴の程度が軽ければ周囲の人も気づかない場合が多いようです。滲出性中耳炎は別名「静かなる中耳炎」とも言われています。
症状
耳垢がつまると、耳がつまる感じ、難聴感、耳鳴りなどを自覚します。
アメミミと呼ばれるようなベトベトの耳垢は、臭いが強い場合がありますが、病気ではなく生理的な臭いであると考えてください。
当院での治療
ピンセットなどでも取り除けない場合は、「耳垢水」と呼ばれる液体を耳の中に何度も入れ、耳垢をやわらかくしてから洗浄や吸引を行い、取り除きます。
小さなお子さんほどたまりやすい傾向があります。お子さんによってたまるスピードは違いますが、当院では3ヶ月に一度程度の受診をおすすめしています。
耳垢が多くたまると、耳がつまった感じが出てきます。耳鼻科で耳垢を取ることは、健康保険で認められている診療のひとつです。遠慮せず「耳垢を取って」とお伝えください。
外傷性鼓膜穿孔(せんこう)
症状
鼓膜が破れてしまうため、痛みや出血、難聴、耳鳴り、耳がつまった感じが現れます。また、障害が鼓膜だけでなく、鼓膜の奥にある音を伝える耳小骨や内耳まで及ぶと、強い難聴やめまいが起こることもあります。
原因
耳掃除のときに誤って鼓膜を突いてしまうことが一番多い原因です。また、耳を強く平手などでたたかれたり、爆風を受けたとき、あるいは水に深く潜ったときなど、急激な圧力の変化でも起こります。
当院での治療
鼓膜は再生能力が高いので、多くの場合は自然に穴が閉鎖します。閉鎖にかかる期間は穴の大きさによって異なりますが、およそ2〜4週間です。
ただし、途中で細菌に感染すると耳だれが出てしまい、穴が閉じなくなることも。そのような場合は抗菌剤の内服をしていただくことがあります。穴が自然閉鎖しなかった場合は、鼓膜形成術という穴を閉鎖する手術を行います。この場合は市民病院などを紹介いたします。
おたふくかぜ
症状
耳の下の部分やあごの下の部分が腫れ、熱をともないます。まれに髄膜炎や睾丸炎、卵巣炎などの合併症が起こったり、難聴になることもあります。
原因
ムンプスウイルスの感染で起こり、唾液などの飛沫、接触感染でうつります。ウイルスに感染し、おたふくの病状が現れるまで2週間〜3週間程度の潜伏期間があります。この潜伏期間中に唾液腺の中でウィルスが大繁殖して、おたふく風邪になります。
反復性耳下腺炎
症状
耳下腺(耳の下にある唾液を作る分泌腺)の腫れる病気は、「おたふくかぜ」だけではありません。子どもの場合、「おたふくかぜ」と区別しなければいけない病気に「反復性耳下腺炎」があります。しかし、耳下腺の腫れ始めに両者を区別することは困難なため、症状の経過をみながら判断していくことになります。
「おたふくかぜ」との違い
- ◇片方だけ腫れる
- ◇熱は出ない
- ◇痛みは軽く、2〜3日で治る
- ◇他人にうつらない
- ◇何度も繰り返す
原因
はっきりとした原因はわかっていません。
当院での治療
腫れが強ければ、抗生剤を処方します。また、必要に応じ痛み止めを処方します。
リンパ節炎
症状
リンパ節とは、一般にはリンパ腺といわれるもので、触るとグリグリとしていますが、炎症がなければ痛みはありません。一つだけのこともありますが、いくつか集まって触れることもあります。頚部全体で約200個のリンパ節があるといわれ、リンパ節が炎症を起こすと、腫れて痛くなります。
原因
かぜなどにより、細菌やウイルスが鼻やのどに感染すると、そこから体内に侵入します。そこで首にあるリンパ節が働き、細菌やウイルスが全身に広がらないよう食い止めます。その働きの結果としてリンパ節が腫れて痛くなるのです。この状態を、頚部リンパ節炎といいます。ただし、他にもリンパ節が腫れる原因は色々あります。
当院での治療
リンパ節の炎症を鎮めるために、抗菌剤の内服や点滴を数日間から2週間程度行います。この治療によって、リンパ節が次第に小さくなっていけば問題ありません。
耳の異物
症状
子どもはいたずらをして、ビービー弾、ビーズ、鉛筆の芯、豆など大人では想像がつかない物を耳の中に入れることがあります。時には小さな虫が飛びこみ耳の中で動くため、痛みや出血を伴うこともあります。また耳掃除をした際の、ティッシュのかけらや綿棒の先が折れて残ってしまうこともあるので注意が必要です。
対処法
ご自宅でがんばって取り除こうとせず、耳鼻科を受診しましょう。がんばれば、がんばるほど、耳の異物は奥に入ってしまうことがほとんどです。特にビービー弾は表面がツルツルでしかも球形のため、奥に入ってしまうと取るのが非常にやっかいです。もし夜間の場合でも、痛みがなければ、翌日の受診でも問題ありません。